
2020年7月、ブロックチェーン追跡サービスWhale Alertは『The Satoshi Fortune』を発表した。セルジオ・デミアン・ラーナーが2013年に発表したPatoshiパターンの原論文を概ね裏付ける独立分析であるが、サトシのマイニング環境について独自の解釈を打ち出した。
主要な発見
- サトシはブロック54,316までに1,125,150 BTCをマイニング
- 最初の54,316ブロックのうち22,503ブロックがPatoshiマイナーによるもの
- うち使用済みはわずか50ブロック(907 BTC)のみ。残りの1,122,693 BTCは未使用のまま
- 発表時点の推定価値:少なくとも109億ドル
これらの数値は、セルジオ・ラーナーが前年に発表した2019年のPatoshi命名論文が示した推定とほぼ一致していた。同論文は、タイムスタンプ逆転分析により独立に約110万BTC・約22,000ブロックを導き出していた。翌年には査読付きのPLOS ONE論文が、独自の手法で同じナンスに基づくパターンとコイン総量に到達している。
マイニング行動
Whale Alertの分析によると、サトシはネットワークの成長に伴い、約48台のコンピューター(またはCPUスレッド)を使用して、ネットワークハッシュレートの約60% を安定的に維持していた。サトシは処理能力を体系的に調整し、1時間あたり約3.6ブロックをマイニングすることで、ネットワークがまだ脆弱な時期に51%攻撃から防御するのに十分なハッシュレートを確保していた。
「48台のコンピューター」主張に関する注記:本レポートの1か月後、セルジオ・デミアン・ラーナーが『The Patoshi Mining Machine』(2020年8月22日)を発表し、再マイニングシミュレーションによりPatoshiマイナーが48台以上の独立したコンピューターではなく、5つの並列スレッドを持つ単一の高性能CPUを使用していたことを実証した。ラーナーはナンス空間が5つのサブレンジに分割され、各サブレンジ内で順次スキャンが行われていたことを示し、78%の高値バイアスが独立したマシンとは整合しないことを証明した。ジェイムソン・ロップの2022年の分析も、別の角度から単一の操作者による意図的な抑制という同じ像に到達している。観測されたハードウェアがフル稼働した場合にマイニングできたはずの量(約219万BTC)と、実際にサトシが得た量(約110万BTC)を比較すると、半分ほどにとどまっていた。ラーナーとロップの独立した分析は、いずれも単一のマルチスレッドPCという像に収束している。
意図的な制限
分析では、時間の経過に伴う意図的なハッシュレート低下パターンが特定された。他のマイナーがネットワークに参加しても、サトシは支配権を競うことなく、マイニング速度を段階的に下げていった。Patoshiマイナーは2010年5月に完全に停止された。サトシの最後の通信の数か月前のことである。
結論
報告書は結論として述べている:「停止のタイミング、マイニング行動、体系的なマイニング速度の低下、そして支出の欠如は、サトシが若いネットワークの成長と保護にのみ関心を持っていたことを強く示唆している。」上述の907 BTCを除く全量が一度も使われていないことは、サトシが個人的利益のためではなくネットワークの立ち上げのためにマイニングしていたという解釈を強化している。
報告書が示した総量は後に、ラーナーやBitMEX Researchによる独立推定と突き合わせる形で、サトシの保有量をめぐるより広範な調査にも組み込まれた。詳細はサトシの保有量を約110万BTCと推定する分析エントリーを参照。









