ノンフィクション
ビットコイン誕生の1000日
著者:柏原 真二
第1巻 前夜
1982年、一本の博士論文に、開ければ中身が消える箱が書かれていた。1994年、世界初の電子現金の支払いを告げる発表文は、その使い道に「ピザを注文する」を挙げていた。1997年、あるメーリングリストで、一人が書いた。「この企てには、『中心の一つ』は何もあってはならない」。
中央の管理者なしで動くお金。ビットコインの26年前から、何人もが、そのすぐそばまで来ていた。デビッド・チャウムの電子現金、アダム・バックのHashcash、ウェイ・ダイのb-money、ニック・サボのビットゴールド、ハル・フィニーのRPOW。それでも、誰も完成させなかった。欠けていたものは何だったのか。
2008年4月、ブログのコメント欄に一行が書き込まれる。「誰かコードを書いてくれないか?」。その一行に、応える人はいなかった。4か月後、先駆者たちのどこにも名前の出てこない一人が、書き上げかけたコードを持って現れる。
シリーズ『ビットコイン誕生の1000日』の第1巻。サトシ・ナカモトが現れるまでの前夜の26年を、先駆者たちが残したメール、論文、書き込みから描く。
第2巻 誕生
2008年8月20日、Hashcashを作った暗号学者のもとに、名前のない差出人からメールが届く。これから出す論文で、Hashcashの引用の書き方を確かめたい、と。ビットコインという名前は、そのメールのどこにもない。
10月31日、サトシ・ナカモトと名乗る人物が、暗号学のメーリングリストで8ページの論文を告知する。手ごわい読み手たちは、規模に耐えない、悪人の計算機のほうが多い、インフレになる、と疑った。2009年1月3日、最初のブロックに新聞の見出しが刻まれる。動き出したばかりのネットワークを支えたのは、一人の協力者のノードだった。値段のなかったコインに、電気代から最初の値段がつく。
そして2010年5月22日、1万ビットコインで、ピザが2枚届く。
シリーズ『ビットコイン誕生の1000日』の第2巻。名前のない一通のメールが、作った人の手を離れて動き出すお金になるまでの21か月を、当事者たちのメールと書き込みから描く。
第3巻 退場
2010年7月11日、技術ニュースサイトのSlashdotが、ビットコインを報じる。世界がビットコインを見つけた日だった。押し寄せた人たちでサイトは落ち、8月15日には、一つの取引が約1,844億ビットコインを生み出した。12月、WikiLeaksが近づいてくる。
見つかったお金を、作った人はひとりで守りながら、手の中にあるものを、一つずつほかの人の手へ移していった。コードのリポジトリ、サイトの連絡先、そして、世界にただ一本の鍵、アラートキー。
巻の終わりでは、サトシ・ナカモトは誰だったのかという、いまも解けない謎と、サトシが残したものを取り上げる。
シリーズ『ビットコイン誕生の1000日』の第3巻。世界に見つかってから、作った人が最後のメールを書くまでの9か月半を、当事者たちのメールと書き込みから描く。
本シリーズについて
著者:柏原 真二
形式:Kindle版・紙の本(日本語)
刊行:2026年
Amazonで発売中。Kindle版はKindle Unlimited会員なら読み放題(0円)。
同じ著者による小説『ジェネシス ― 創設者の消失と約束』は、サトシ・ナカモトの消失を描いたフィクションである。