ビットコイン・インスティテュート

マイナーたちは​実際、​何を​競っているのか

くじ引き式の数字探しを編集イラストとして描いたもの。当選券の山からコインが立ち上る

抽選会が成立するのは、誰にも事前に仕組めない形で当選者を決める方法があってこそだ。番号付きの玉を回転させてランダムに引くドラム式抽選器なら、誰も出る番号を細工できない。ビットコインには、まったく別の課題に対して、それと同じ役割を果たすものが必要だった。共有の帳面に次のページを追加したい人は大勢いるが、実際に追加できるのは誰なのか、という課題である。

ページを追加する権利を勝ち取る

ソフトウェアを動かしている人なら誰でも、次のブロックの追加に挑戦できる。この挑戦をマイニングと呼び、それを行うコンピューターをマイナーと呼ぶ。ただし、マイナーは好きなときにブロックを追加できるわけではない。まず一種のくじに勝たなければならない。

くじの仕組みはこうだ。候補ブロックにナンスと呼ばれる数値を1つ付け、前のページで説明した指紋計算にそのブロック全体を通す。出てきた指紋が、たまたま十分な数のゼロで始まっていれば、そのナンスは当たりで、ブロックは有効になる。そうでなければナンスを変えて、また試す。指紋の出方はまったく予測できないので、当てずっぽうに勝る賢い手はない。唯一の戦略は、コンピューターが1秒間に何十億通りもの数字を試し続け、たまたま当たりが出るのを待つことだ。速いコンピューターほど1秒あたりに試せる回数が多いぶん当選しやすくなるが、それはあくまで速さに比例した確率であって、保証ではない。リリースから数日後、サトシは初期利用者からの質問にこう答えている。その利用者は、最も強力なコンピューターが常に勝ってしまうのを何が防ぐのかと尋ねていた。「一台の車が二倍速いなら必ず勝つ、というようなレースとは違う」。その同じ利用者は、サトシのこの説明を自分の言葉ですぐに言い換えている。各試行を独立したルーレットの一回転になぞらえたのである。

このしらみつぶしのくじ引きはプルーフ・オブ・ワーク、略してPoWと呼ばれる。何かを得るために、本物の、コストのかかる作業をやらせるという発想で、もとは1997年にアダム・バックのHashcashが、迷惑メールの送信コストを引き上げる手段として提案したものだ。ビットコインはこれをシステム全体の核として再利用している。現在いくつのゼロが必要かという難易度は、数週間ごとに自動調整される。世界中でどれだけの計算力がこのパズルに投入されようとも、当たりのブロックが平均でおよそ10分に1回見つかるように、難易度が締められたり緩められたりする。

新しいビットコインは実際どこから来るのか

このくじに勝つと、賞品が付いてくる。勝ったマイナーは、自分のブロックの先頭に特殊な項目を1つ入れる権利を得る。これがコインベーストランザクションで、誰かの既存のレシートを使うのではなく、何もないところから新しいレシートを作り出し、マイナー自身に支払う。この新たに作られる額をブロック報酬と呼び、これこそが新しいビットコインがこの世に生まれる唯一の経路だ。それに加えて、マイナーはブロックに含めた通常のトランザクションに添えられた小額の手数料も受け取る。

この報酬は永遠に一定ではない。2009年1月に1ブロックあたり50 BTCで始まり、およそ4年ごとにちょうど半分になる。このイベントを半減期と呼ぶ。

2009 年 — 1 ブロック 50 BTC

2012 年 — 25 BTC

2016 年 — 12.5 BTC

2020 年 — 6.25 BTC

2024 年 — 3.125 BTC

... 報酬が事実上

ゼロになるまで

半減を続ける

この縮小スケジュールを最後まで計算すると、将来発行される総量は2,100万BTCにわずかに届かない額に収まる。それ以降、マイナーはトランザクション手数料だけを受け取ることになり、新規発行分はなくなる。同じ半減の系列を等比数列として厳密に計算しているのが貨幣設計のページで、正確な数式を知りたい読者向けに解説している。

このくじに今日勝とうとすると、この1種類の計算だけを行うために作られた専用のコンピューター機材が、産業規模で必要になる。抽選のたとえ話が連想させるような、普段使いのノートパソコンではない。この変化やその他いくつかの変化が、ビットコインの日々の運用のいまの姿を、最初期のころの姿から隔てている。この比較を知りたい読者には、対となる分析記事がその違いを整理している。このくじを、計算量ではなく預け入れたコインの量で重みづける方式に置き換えたチェーンもある。両者を並べて採点したのがプルーフ・オブ・ワークとプルーフ・オブ・ステークの比較だ。

このくじに勝てばブロックは追加されるが、それも一瞬のことにすぎない。次のページでは、送金がそのくじに届くまでの間に何が起きているか、そして本当に確定したと見なせるまでに何ブロック必要かを扱う。

参照元の外部ソース

https://bitcoin.org/bitcoin.pdf

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