
2022年9月16日、ジェイムソン・ロップは「Was Satoshi a Greedy Miner?(サトシは欲張りなマイナーだったか?)」をブログに発表し、ビットコインの創設者がネットワーク初期にコインを利己的に溜め込んだという説に真っ向から反論した。
主要データ
- サトシは14か月間で約22,000ブロック、約110万BTC(総供給量の約5%)をマイニング
- 最大ハッシュレート能力:6 Mhps(実測値:4.35 Mhps)
- ネットワークハッシュレートの50%以上を占めていたが、2009年10月に自発的にマイニング能力を減らした
- 記事の数え方では、22,000を超えるブロックのうち使われたのは20未満(0.09%)。Whale Alertの2020年分析は22,503ブロック中50としていた。ロップ自身が公開したブロックの一覧で数えると31になる(次の節)
- サトシの連続ブロック間隔が5分未満になることはほとんどなく、マイニングラウンド間で意図的に一時停止していたことを示唆
ロップ自身の一覧で数えた使用済みブロック
ロップのスクリプトは、一緒に公開したブロックの一覧でサトシのブロックを見分けている。GitHubのbitcoin-utilsリポジトリにあるfindPatoshiBlockTimestampDeltas.phpの$patoshiBlocksという配列で、高さ3から49,973までの21,953ブロックが並ぶ。配列の中身は、2020年8月25日の最初の版でも、記事の直前の2回の更新(2022年9月14日と15日)でも変わっていない。
記事は、使われたブロックをどう数えたかを書いていない。2026年9月、ビットコイン・インスティテュートはこの一覧のすべてのブロックについて、コインベースの出力をブロックチェーンで確かめた。出力が使われていたのは31ブロックで、一覧の0.14%、1,550 BTCにあたる。残る21,922ブロック、1,096,102.49 BTCは一度も動いていない。31ブロックはどれも記事の公開より前に使われている。
| 使われた年 | ブロック数 | BTC |
|---|---|---|
| 2009 | 6 | 300 |
| 2010 | 14 | 700 |
| 2011 | 1 | 50 |
| 2013 | 1 | 50 |
| 2016 | 2 | 100 |
| 2017 | 7 | 350 |
| 合計 | 31 | 1,550 |
最初はブロック9で、その報酬が最初のビットコインの送金に使われた。2009年1月12日、ブロック170で、サトシがハル・フィニーに10 BTCを送った取引である。2010年の14ブロックのうち11ブロックは、2010年5月17日の2つの取引でまとめて使われた。最も遅いのはブロック34,813の報酬で、2017年12月7日にブロック498,031で使われた。一覧そのものが採掘の規則性からの推定なので、ここから分かるのは出力が動いたことであって、誰が動かしたかではない。
反実仮想分析
ロップは2つの代替シナリオをモデル化した:
- フル稼働(休止なし):実測4.35 Mhpsで連続マイニングした場合、~31,783ブロック / ~159万BTC(実際の約1.5倍)
- 最大能力:マシンの最大6 Mhpsでマイニングした場合、~43,829ブロック / ~219万BTC(実際のほぼ2倍)
連続ブロック間の約300秒の休止と、利用可能なハッシュレートの72.5%のみの意図的使用は、サトシが個人的利益よりもネットワークの立ち上げと分散化を優先していたことを示している。
セルジオ・デミアン・ラーナーのPatoshiパターン研究を基に、ロップの分析はサトシのマイニング行動が搾取的ではなく利他的であったことの定量的証拠を提供した。記事は次のように締めくくる:「サトシが欲張りだったと主張する人は、単に計算をしていないだけだ。」
2023年1月に休眠コインが動いた事例で、2009年1月のブロック報酬が初めて動いたとき、アナリストはそれをPatoshiパターンと照合した。そのコインはパターンとまったく一致しなかった。
「奪おうと思えば奪えたのに自制したマイナー」というこの人物像は、これより5年近く前、ビットコインのブロックチェーンコードを最初期にレビューした人物の一人であるレイ・ディリンジャーによって、すでに定性的な形で描かれていた。ロップの分析は、その印象に数値的な裏付けを与えている。
このPatoshiの数字を、ハル・フィニー自身が記録したマイニングの規模と突き合わせた議論は、ハル・フィニー同定仮説の §2.3にある。



















