ビットコイン・インスティテュート

ブラッド・ガーリングハウス (1971–)

リップルのCEO。ビットコインを「中国が支配」と呼び、のちに価値の保存では「強気」

人物

暗い背景の図。会社のロゴを入れる小さな枠が、はしごのように並んで、検証者のノードの輪へと上っていく。国旗の形の印が、採掘機の輪郭に重なる。天秤が、コインと、裁判所の柱を量っている。一番下に、三つの説明の枠が並ぶ。

ブラッド・ガーリングハウスは、暗号資産の会社を率いるより前に、シリコンバレーでも指折りの大企業で、十年以上、一般の利用者向けの部門を率いていた。2015年4月にリップルへ最高執行責任者として入社し、共同創業者のクリス・ラーセンの下で働き、2016年12月にCEOとなる。

ビットコインについての彼の発言には、二つの向きがあり、最後まで一つにまとまらない。採掘が一部に集まっていることを疑う見方と、持っておくための資産としては有望だという見方である。

2003Yahoo! 上級副社長(2008年まで)2009AOL コンシューマー部門プレジデント(2011年まで)2014Hightail CEO (9月まで)2015リップルにCOOとして入社 (4月)2016CEOに昇格 (12月)2018「ビットコインは事実上中国に支配されている」(Stifel カンファレンス)2020「BTCには強気、ただし決済には使わない」 (1月)SECがリップル・ラーセン・ガーリングハウスを提訴 (12月22日)2023トーレス判事、SEC訴訟に判決(7月13日)

ほかの人が作った大きなサービスで積んだ経歴

リップルより前のガーリングハウスは、自分で会社を興すのではなく、一般向けのインターネットの大きなサービスを、次々に移りながら働いてきた。@Home Networkで初期の役職に就き、@Venturesのジェネラルパートナーを務めたあと、2000年から2001年までDialpadのCEOを務める。2003年から2008年まではYahoo! の上級副社長として、ホームページ・Flickr・Yahoo! メール・Yahoo! メッセンジャーの各部門を統括した。この時期、社内向けに「ピーナッツバター・マニフェスト」を書いている。会社が資源を薄く広げすぎていると論じた文書である。Yahoo! を離れた後はSilver Lake Partnersのシニアアドバイザーを経て、2009年から2011年までAOLのコンシューマーアプリケーション部門プレジデントを務め、続いて2014年9月までHightail (旧YouSendIt) のCEOを務めた。

この経歴のどこにも、決済の網や通貨の制度を作った経験はない。彼は2015年4月にリップルにCOOとして入り、2016年12月からはCEOとして率いた。それまでの勤め先は、どれも製品を作る会社だった。台帳を中心にした会社で働くのは、リップルが初めてだった。

「中国に支配されている」

ビットコインは中央のない仕組みだ、とよく言われる。だが彼は聴衆に、その言い分には、市場がまだ気づいていない弱みがある、と語った。

ブラッド・ガーリングハウス(Stifelクロスセクター・インサイト・カンファレンスでの発言、2018年)

ビットコインは事実上中国に支配されている。中国には、ビットコインの50% 超を支配する4つのマイナーがいる。

この主張は、誰がコインを持っているかではなく、マイニングプールがどこの国にあるかについてのものである。このサイトのほかのページで追っている、ハッシュパワーが一部に集まっているという議論と、同じことを言っている。ハッシュパワーが実際にどこにあるかの話だが、これを語っているのは、自社の台帳に採掘の仕組みを一度も取り入れたことのない会社のCEOである。

「強気だが、決済には使わない」

別の場では、自分の疑いを取り下げるのではなく、疑いの中に一本の線を引いてみせた。

ブラッド・ガーリングハウス(ダボスのウォール・ストリート・ジャーナル主催のイベントでの発言、2020年1月)

BTCには価値の保存手段として強気だが、決済手段としてはそうではない。

この線引きが大事なのは、電子現金とデジタルゴールドの分析が、ビットコイン自身の歴史の中でたどっているのと同じ線だからである。ビットコインは、数が限られているせいで、使うより持っておくのに向いたチェーンになった、という線である。ガーリングハウスは、ビットコインが失敗していると言っているのではない。持っておく資産としては成功している、と言っているのである。だが、それはホワイトペーパーが約束したことではなかった。そしてホワイトペーパーが題に掲げた「支払い」のほうは、自社の台帳が引き受ける、とも言っている。

自分の任期中のXRPの販売が、訴えられる

2020年12月22日、SECは、リップル社、クリス・ラーセン、ガーリングハウス本人を相手に、2013年からの13億ドル分のXRPの販売について訴えを起こした。ガーリングハウスの場合、訴えられた販売の大半は、台帳が生まれた2012年のころではなく、彼がCOOやCEOを務めていた時期に行われていた。2023年7月のアナリサ・トーレス判事の判決は、買い手によって判断を分けた。リップルと直接交渉した機関投資家向けの販売は無登録証券の募集にあたり、取引所での匿名の買い手への販売はそれにあたらない。2024年8月の最終判決は1億2,503万5,150ドルの制裁金を科した。SECが求めた額をはるかに下回る。あわせて、今後、登録しないまま機関投資家に売ることを禁じた。ただし、機関投資家に売ることそのものを禁じたわけではない。

二つの立場は、矛盾しているのか

ビットコインについて、ガーリングハウスは二つのことを言っている。2018年には、採掘が一部に集まっていると批判し、2020年には、価値の保存の手段として認めた。記録を見るかぎり、彼はこれを、考えが変わったとは説明していない。実際、二つは、同じ資産について同時に言えることである。採掘の力が特定の地域に集まっているネットワークでも、どこで掘られたかにかかわらず、価値の保存の手段にはなりうる。ここに見えるのは、このサイトに出てくるほかのアルトコインの経営者にも見られる形である。ビットコインの設計のある点には、はっきりした異論を述べ、別の点には、心から敬意を払う。その二つが、同じ一人の中で、ぶつかり合うことなく並んでいるのである。

ビットコインの歴史での意味

このサイトに出てくるアルトコインの創業者たちの中で、ガーリングハウスだけは、会社の仕組みを作る側ではなく、あとから経営者として加わった人である。彼がリップルとしてビットコインについて語れるのは、クリス・ラーセンとジェド・マケーレブが作った事業を経営しているからであって、台帳を自分で書いたからではない。この違いは、採掘が一部に集まっているという彼の批判を読むときに、大事になる。この批判は、作る段階で別の合意の仕組みを選んだ人の、技術の面からの異論ではない。リップルが競っている市場について、経営者が述べた見立てである。その合意の仕組みが実際にどんなもので、ビットコインの採掘をやめて、名前の分かった二つの組織が運営する検証者のリストに置き換えると何を失うのかは、XRPの通貨のページに記録してある。12のチェーンの設計を比べた分析の表も、同じ結論を示している。選び抜かれた検証者のリストと、一つの会社が握る台帳は、採掘で動き、全体を取り仕切る者のいないビットコインとは、正反対である。

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