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ハル・フィニー​「Dying Outside」​:ALSを​告げられて​(LessWrong、​2009年10月)

ある男が医者に診てもらいに行く。いくつか検査をしたあと、医者が言う。「お気の毒ですが、命にかかわる病気です」

男「なんてことだ! あとどのくらい生きられるんです?」

医者「10」

男「10? なんですか、その答えは。10か月? 10年? 10の何なんです?」

医者は腕時計を見る。「9」

最近、医者から悪い知らせを受けた(ジョークほどひどくはないけれど)。残念ながら、命にかかわる病気、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されたんだ。ルー・ゲーリッグ病と呼ばれることもある。ALSは神経を傷め、筋肉を少しずつ弱らせて麻痺させ、最後には死に至らせる。患者は話すことも、歩くことも、動くこともできなくなり、やがては息をすることもできなくなる。たいていは、それが命の終わりになる。この経過には、ふつう2年から5年ほどかかる。

それでも、この状況には明るい点が二つある。一つ目に、ALSは通常、高次脳機能に影響しない。考える力も、筋道を立てる力も、いつもどおり保たれる。身体が外側で死につつあっても、内側では生き続けていられるんだ。

二つ目は生き延びることにかかわる。ALSはふつう命にかかわる病気だと説明されるけれど、それは正確ではない。ほとんどの場合に命にかかわる、というだけなんだ。呼吸ができなくなりはじめると、ALSの患者は選ばなければならない。気管を切開して人工呼吸器につなぐ侵襲的な機械呼吸に移るか、苦痛なく死ぬかだ。ALS患者の9割を超える人が死を選ぶと知って、とても驚いた。しかも、生きるほうを選ぶ人でさえ、大半は、呼吸の危機に陥って病院にいるときに、とっさに決めている。前もって希望を伝えてある患者もわずかにいるが、たいていは、その場の治療の一環として処置が行われる。そのあと患者は、そのまま生きるか、死ねるように機械を外してほしいと頼むかのどちらかになる。まだ比較的元気なうちに人工呼吸器へ移る手はずを整えるALS患者は、おそらく1%もいない。うまく移行できる見込みがいちばん高いのは、そのときなのにね。

機械呼吸があれば、ALSを抱えたまま、いつまでも生き延びられる。そして、人工呼吸器で生きている人の大多数は、生活の質はよく、自分の決断に満足していると言っている(ここには選択の偏りがあるかもしれない)。だとすると、ALSを命にかかわる病気と呼ぶのは、単純にすぎるようだ。ALSは身体を奪うけれど、心は奪わない。意志が固く、運にも恵まれれば、命まで奪われなくてもいいんだ。

人工呼吸器で生き延びるには、実際上の障害も、お金の障害もいくつもある。いちばん大きいのは、介護する人にかかる重い負担だ。死を選ぶ人の割合が高い一因は、間違いなくそこにある。けれど、反対の多くは人生観から来ているようだ。人は機械に生かされることを喜ばない。そして、動くことも、いつもの活動に加わることもできなければ、生活の質は低いだろうと思い込む。人工呼吸器で生きている人のほとんどが、自分の生活の質を、まあまあからよいと言っているにもかかわらずだ。ほかの場面でも見てきたとおり、人は、状況が変わったときに自分がどう感じるかを、驚くほど言い当てられない。これもそうした例の一つらしく、ALS患者の死亡率の高さにつながっている。

その時が来たら、生きるほうを選びたいんだ。ALSが殺すのは、筋肉に信号を運ぶ運動ニューロンだけだ。感覚はそのまま残る。それに、ほとんどの患者は、いくつかの筋肉をわずかでも動かせる力を残していて、今の技術を使えば、それが驚くほど役に立つ意思疎通の手段になる。診断から40年を超えて、世界でいちばん長く生きているALS患者のスティーヴン・ホーキングは、頬の筋肉をぴくりと動かして、1分に10語を打てるそうだ。私も、本を読み、ネットを見て回り、メールやメッセージのやり取りに加わることさえできたらと思う。音声合成を使えば身近な人と話せるし、ALS患者のための無料のサービスを使って、将来のために、自分の生まれつきの声を写した合成の声を作ってもらっているところだ。コードだって、まだ書けるかもしれない。動けない体からでも、オープンソースのプロジェクトに貢献するのが夢なんだ。それは十分に生きる価値のある人生だ。

原典の外部ソース

https://www.lesswrong.com/posts/bshZiaLefDejvPKuS/dying-outside
LessWrongへの投稿。2009年10月5日02:45:02 UTCに公開(投稿ID bshZiaLefDejvPKuS、LessWrongのAPIで確かめた)。

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