ビットコイン・インスティテュート

金子勇 (1970–2013)

Winny開発者、東京大学助手、日本語圏で議論されるサトシ仮説候補

人物
🔍 サトシ正体仮説 →

紺色を背景に、顔のない横顔シルエットの中に、相互に結びついたネットワークノードと線が描かれている。その脇に大きな数字「47」があり、下部には7.5年の間隔を示す2つの日付を結ぶ横長の年表が配置されている。

2002年5月、東京大学の助手・金子勇がP2Pファイル共有クライアントWinnyを2ちゃんねるに公開した。2年後の2004年5月10日、京都府警が著作権法違反幇助の容疑で逮捕。最高裁による無罪確定は、逮捕から7年半後の2011年12月19日だった。2013年7月6日、心筋梗塞により42歳で死去。死後、彼の名は日本語圏で議論されるサトシ正体仮説を通じてサトシ・ナカモトと結びつけられるようになった。この仮説は日本語圏のフォーラムと技術系メディアで取り上げられる一方、英語圏のビットコイン議論ではほぼ知られていない。

1970誕生2002東京大学大学院情報理工学系研究科助手Winny を 2ちゃんねるで公開 (5月)2004京都府警が著作権法違反幇助容疑で逮捕 (5月10日)2006京都地裁有罪判決 (罰金150 万円、 12月13日)2009大阪高裁逆転無罪(10月8日)2011最高裁が検察上告棄却— 無罪確定 (12月19日)2012株式会社ドリームボートでSAMURAI 開発に参加2013心筋梗塞で死去(7月6日、 42 歳)日本語圏でサトシ仮説候補として議論再燃

Winny(2002年)

金子は東京大学大学院情報理工学系研究科の助手を務めていた時期、2002年5月に2ちゃんねる上でWinnyと呼ばれるP2Pファイル共有システムを公開した。Winnyは、共有される各ファイルの発信元を否認可能にするように設計されたルーティング方式を採用しており、ピーク時には日本国内で数百万のユーザーを擁するネットワークとなった。Winnyの設計はFreenet、Gnutella、匿名ルーティング文献に依拠している。

金子は2ちゃんねるダウンロードソフト板に匿名で開発を告知し、その後の利用者とのやり取りを通じて開発を進めた。最初の投稿番号が「47」であったことから利用者からは「47氏」と呼ばれるようになり、Winny公開以後、本名公表まで一貫してこの匿名運用が続いた。自嘲気味で日本語口語の色が濃いこの第一声こそ、国籍論の分析が、日本語を一切含まないビットコインのソースコードと突き合わせ、サトシが日本語母語話者でありうるかを測る最も鋭い試金石として読んでいるものである。

開発予告の第一声(スレッドアーカイブ):

「暇なんでfreenetみたいだけど2chネラー向きのファイル共有ソフトつーのを作ってみるわ。もちろんWindowsネイティブな。少しまちなー。」

末尾の「少しまちなー」は同スレッド以後の47氏発言ログで繰り返し現れる定型句で、匿名運用下でも声紋として一貫していた。

著作権法違反幇助裁判(2004–2011年)

2004年5月、京都府警は金子を著作権法違反幇助の容疑で逮捕した。検察側は、Winnyを開発・配布したことで、Winnyを使って著作物を共有したユーザーの行為を幇助したと主張した。

日付出来事
2004年5月10日京都府警逮捕
2006年12月13日京都地裁有罪判決(罰金150万円)
2009年10月8日大阪高裁逆転無罪
2011年12月19日最高裁検察側上告棄却、無罪確定

本裁判は、ツール開発者の刑事責任に関する画期的判例として、日本の技術政策議論で広く引用されている。

裁判後

無罪確定後、金子は商用ソフトウェア開発に再び従事した。2012年には株式会社ドリームボートでSAMURAI(コンテンツ配信プラットフォーム)の開発に参加した。

死

金子は2013年7月6日に心筋梗塞で死去した。42歳だった。

死後のサトシ仮説との関わり

金子自身がビットコインと関わった記録は存在しない。彼の名がサトシ・ナカモトと結びつけられるようになったのは、すべて死後のことである。日本語圏(特に2ちゃんねる/5ちゃんねるの派生議論や日本語の技術系メディア)では、金子をサトシ・ナカモトの正体候補として議論する声が繰り返し現れる。論者は、日本人名形の仮名としての「Satoshi Nakamoto」の適合、Winnyが示すP2Pプロトコル能力、東京大学助手としての日英バイリンガル能力、Winny裁判における反体制的姿勢などを根拠とする。

主要な反証は次の5点:

  • ビットコイン開発期と重なる刑事裁判中の社会的注視(2007–2008年は控訴中の被告人として持続的な注視下にあった)
  • ビットコインが引用する知的系譜(Hashcash、b-money)に関与した記録が一切ないこと
  • ビットコインv0.1ソースに日本語の痕跡が一切ないこと
  • サトシの英語の文体と金子の学術英語の文体差
  • サトシ最終既知メール(2011年4月)と金子死去(2013年7月)の間に約2年の間隔があり、間に商用ソフトウェア開発を含む公的な技術活動が記録されていること

詳細は金子勇 = サトシ仮説エントリーを参照されたい。

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