サトシ・ナカモトは誰か:12 人の天才と世紀のミステリー
繰り返し挙げられるサトシ候補を、プロファイル整合・文体計量・直接通信・開発環境の 4 つの独立したレイヤで比較する。「個別」列は各候補の仮説ページにリンク。
Winny 開発者、東京大学助手、日本語圏で議論されるサトシ仮説候補
2002 年 5 月、東京大学の助手・金子勇が Winny —— P2P ファイル共有クライアント —— を 2 ちゃんねるに公開した。2 年後の 2004 年 5 月 10 日、京都府警が著作権法違反幇助の容疑で逮捕。最高裁による無罪確定は 2011 年 12 月 19 日 —— 7 年半後だった。2013 年 7 月 6 日、心筋梗塞により 42 歳で死去。本アーカイブで彼を記録するのは、主に死後の日本国内でのサトシ正体仮説 —— 日本語圏のフォーラムと技術系メディアで取り上げられるが、英語圏のビットコイン議論ではほぼ知られていない仮説 —— のためである。
金子は東京大学大学院情報理工学系研究科の助手を務めていた時期、2002 年 5 月に 2 ちゃんねる上で Winny と呼ばれる P2P ファイル共有システムを公開した。Winny は、共有される各ファイルの発信元を否認可能にするように設計されたルーティング方式を採用しており、ピーク時には日本国内で数百万のユーザーを擁するネットワークとなった。Winny の設計は Freenet、Gnutella、匿名ルーティング文献に依拠している。
金子は 2 ちゃんねるダウンロードソフト板に匿名で開発を告知し、その後の利用者とのやり取りを通じて開発を進めた。最初の投稿番号が「47」であったことから利用者からは「47 氏」と呼ばれるようになり、Winny 公開以後、本名公表まで一貫してこの匿名運用が続いた。
開発予告の第一声 (スレッドアーカイブ):
「暇なんで freenet みたいだけど 2chネラー向きのファイル共有ソフトつーのを作ってみるわ。もちろん Windows ネイティブな。少しまちなー。」
末尾の「少しまちなー」は同スレッド以後の 47 氏発言ログで繰り返し現れる定型句で、匿名運用下でも声紋として一貫していた。
2004 年 5 月、京都府警は金子を著作権法違反幇助の容疑で逮捕した。検察側の主張は、Winny を開発・配布したことで、Winny を使って著作物を共有したユーザーの行為を幇助した、というものだった。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2004 年 5 月 10 日 | 京都府警逮捕 |
| 2006 年 12 月 13 日 | 京都地裁有罪判決(罰金 150 万円) |
| 2009 年 10 月 8 日 | 大阪高裁逆転無罪 |
| 2011 年 12 月 19 日 | 最高裁検察側上告棄却、無罪確定 |
本裁判は、ツール開発者の刑事責任に関する画期的判例として、日本の技術政策議論で広く引用されている。
無罪確定後、金子は商用ソフトウェア開発に再び従事した — 2012 年には株式会社ドリームボートで SAMURAI(コンテンツ配信プラットフォーム)の開発に参加した。
金子は 2013 年 7 月 6 日に心筋梗塞で死去した。42 歳だった。
本アーカイブにおけるビットコイン関連の文脈はすべて死後のものである。日本語圏(特に 2 ちゃんねる/5 ちゃんねるの派生議論や日本語の技術系メディア)では、金子をサトシ・ナカモトの正体候補として議論する声が繰り返し現れる。論じ方は、日本人名形の仮名としての「Satoshi Nakamoto」の適合、Winny が示す P2P プロトコル能力、東京大学助手としての日英バイリンガル能力、Winny 裁判における反体制的姿勢などを根拠とする。
主要な反証は、(a) ビットコイン開発期と重なる刑事裁判中の社会的注視(2007–2008 年は控訴中の被告人として持続的な注視下にあった)、(b) ビットコインの知的系譜(Hashcash、b-money、Bit Gold)からの断絶、(c) ビットコイン v0.1 ソースに日本語の痕跡が一切ないこと、(d) サトシの英語の文体と金子の学術英語の文体差、(e) サトシ最終既知メール(2011 年 4 月)と金子死去(2013 年 7 月)の間に約 2 年の間隔があり、間に商用ソフトウェア開発を含む公的な技術活動が記録されていること。
詳細は金子勇 = サトシ仮説エントリーを参照されたい。
2 エントリー
繰り返し挙げられるサトシ候補を、プロファイル整合・文体計量・直接通信・開発環境の 4 つの独立したレイヤで比較する。「個別」列は各候補の仮説ページにリンク。
金子勇(Winny 開発者、2004 年から刑事被告、2013 年 7 月死去)= サトシ仮説。反証: 開発期と重なる刑事裁判、英語の文体差、コードの言語的痕跡。