ネットワークは、いずれ必ず「寡頭」の担い手が動かすことになる。ソフトウェアが最適化できるところまで最適化されれば、勝負はハードウェアと帯域、そして長い目で見れば発電で決まる。大半の人はついていけない。
プルーフ・オブ・ワークが、SHA-2のような、ただ一つの、はっきり定まった、単純で予測できるハッシュ関数を解くという特化したものに行き着くなら、そうなるだろう。
それを避けたいなら、プルーフ・オブ・ワークをもっと混沌とした、複雑なものにする必要がある。
SHA-2は、もともと計算が「簡単」になるように設計されている。本来の目的はデジタル署名で、プルーフ・オブ・ワークではないからだ。
そうしなければ、あなたの言うとおりの結末になる。
2020年のこんな未来図を考えてみてほしい。世界の毎秒ギガハッシュの3分の2を、たった三つの会社が握っている。会社は、ハッシュの計算に特化した処理装置を自分で作り、専用に建てた発電所の電気で動かしている。そこへ中国政府が三つの会社を説き伏せ、すべての取引の10%を二重支払いで中国政府のビットコインのアドレスへ回させる。見返りに、会社は、処理装置を作るのにどうしても要る希土類を、独占して手に入れる。10%の「税」のない別の通貨へ移る人もいるが、たいていの人は我慢する。そのころには、ビットコインはほとんどどこでも受け取ってもらえるからだ。