2008年 8 月のやり取りから約 5 か月後、サトシはアダム・バックに最後のメールを書き送った。Bitcoin v0.1 のリリースの翌日のことである。最初に連絡を取ったサイファーパンクの一人であるバックに対するサトシ自身による v0.1 公開告知の中核的な一文は次の通り。
私の論文のオープンソース実装、Bitcoin v0.1 をたった今公開した。詳細・ダウンロード・スクリーンショットは
www.bitcoin.orgにある。
プロジェクトがどう受け止められているかを示すため、サトシは暗号学メーリングリストの議論からハル・フィニーの応答の一部を転送した。フィニーの発言は metzdowd.com の暗号学メーリングリストアーカイブとして独立に公開されており、正典はフィニーの応答エントリ(2008-11-07)にある。サトシがバックに見せるために特に転送した二行は次の通り。
ビットコインは非常に有望なアイデアに思える。誠実な参加者の CPU 能力が攻撃者のそれを上回るという仮定にセキュリティの基盤を置く発想が気に入った。
このメールが、サトシとアダム・バックの間で知られている最後の直接的なやり取りである。バックはこの時点でビットコインに関与せず、積極的に参加するようになったのは 2013 年以降で、2014 年に Blockstream 社を設立した。2008年 8 月 20 日から 2009年 1 月 10 日にかけての 5 通のメールチェーンは、Hashcash の考案者へのサトシの働きかけ、それを介したウェイ・ダイの b-money の発見、そして稼働するシステムの公開報告までを記録している。